[乗車券類の分割購入]
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はじめに
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一般に,出発地から目的地まで1枚の乗車券を買う場合と,途中駅で分けて買う場合で値段を比較すると,前者の方が安くつきます。例えば,
  • 「東京→横浜」 = 450円
  • 「東京→川崎」 + 「川崎→横浜」 = 290円 + 210円 = 500円
となり,途中の川崎で一度降りると 50円高くなります。しかしその一方で,
  • 「東京→大船」 = 780円
  • 「東京→横浜」 + 「横浜→大船」 = 450円 + 290円 = 740円
のように,旅客鉄道会社線では途中で区間を分割した方が安くなる場合があります。

この節では,何故このようなことが起きるのかを説明するとともに,実際に乗車券類を購入する場合に注意すべき点をいくつか挙げます。

2014年-4月-1日に消費税率変更に伴う運賃改定が行われ,さらには一部の旅客鉄道会社においては現金で購入する場合とFelicaで乗降する場合で運賃が異なるようになりました。本節の記載はこれらに追随していませんのでその旨ご承知おきください。


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何故分割購入すると安くなる場合があるのか
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理由は大きく分けて2つあります。

1.運賃算出は単なる乗算のようで乗算でない

まず,運賃算出の方法です。

300kmまでの区間 (第1地帯) では「キロ当りの単価 (本州3社幹線の場合,16円20銭) に発着区間の営業キロを掛け,消費税を加算 (10kmまでの区間は別途運賃を設定)」となりますが,実際には営業キロ 1 km毎に運賃が上がって行くわけではありません。

発着区間の営業キロが 50kmまでは 5km毎,100km までは 10km毎,のように幅を持って上がっていきます。

例として 25km 超 30km 以下の場合の運賃算出方法をみてみましょう。
  • (税抜き運賃) = (キロ当りの単価) x (25km 超 30km 以下の場合の乗率)
    = 16.2 x 28 = 453.6 → 460円 (10円単位に切り上げ)
  • (消費税) = 460 x 0.05 = 23 → 20円 (10円単位に四捨五入)
  • (税込み運賃) = (税抜き運賃) + (消費税) = 460 + 20 = 480円
ここで重要なのは,25km超 30km以下の場合,実質 28km分の運賃が計算されているということで,26km乗る場合は 2km分損をし,30km乗る場合は 2km分得をしているとも言えるでしょう。同様に 10km超 15km以下の場合は 13km分,15km超 20km以下の場合は 18km分で計算されます。

注意深い人は,25km超 30km以下の場合,10km超 15km以下の2区間に分けることができれば,28km分の運賃を払うところが 26km分(13km分の2倍)で済むため,わずかながら安くなるのではないかということに気がつくでしょう。実際に 480円 > 230 x 2 = 460円 となります。

100kmを超えるとこの違いはより顕著になります。

東京から静岡までは 180.2kmで 180kmを 0.2km超えるため,180km超 200km以下の運賃 (190km分で計算) が適用され 3,260円です。しかし,手前の東静岡までだと 177.7kmで 160km超 180km以下の運賃 (170km分で計算) が適用され 2,940円です。東静岡から静岡までは 2.5kmで 140円のため,
  • 「東京→静岡」 = 3,260円
  • 「東京→東静岡」 + 「東静岡→静岡」 = 2,940円 + 140円 = 3,080円
と,180 円も安くなります。

2.特定区間は安くても先まで行くと安くない

大宮から大船までは 1,210円 (77.0km) ですが,一駅先の藤沢まで行くと 1,450円 (81.6km) となり,4.6km余計に乗っただけで,一挙に 230円上がっています。これは何故でしょうか。

東京周辺部の「電車特定区間」内で乗り降りする場合は単価が若干安めに設定されているのですが,ちょっとでも超えると全区間に渡って通常の単価が適用されるからです。

この場合,大船で一度降りて藤沢までの乗車券 180円を買った方が 50円安くなります。

さらに会社線と平行している「特定区間」も運賃は安めに設定されていますが,これまたちょっとでも超えると全区間に渡って通常の運賃計算方法が適用されます。

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実際にどう買えばよいのか (普通乗車券の場合)
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それでは東京から大船に行く時に,横浜までの 450 円の乗車券を買って乗り,大船で降りる時に「乗越精算」をした場合,どうなるでしょうか。

「横浜→大船」の 290 円を払えばよいかと言うとそうではなく,横浜〜大船間 780 円との差額 330 円を払わなければなりません。これでは精算の手間がかかるだけで何の得にもなりません。

これは 100km以下の場合,乗越し精算の際には差額を支払う規則によるものです。ですから,東京駅で乗る前に「東京→横浜」「横浜→大船」の2枚の乗車券を買っておく必要があります。

しかし駅では原則としてその駅からの乗車券しか売らないため,東京駅の窓口で「横浜→大船」の乗車券を購入することはできません。実際にはマルスの端末で発券することは可能ですが,拒否される可能性大です。一方旅行会社では,任意の区間の乗車券が1カ月前から買えるため,事前に準備することが可能です。そうすれば,一度横浜で降りる必要もありません。

でも 40円安くするために,旅行会社の窓口まで行き妙ちくりんな買い方をする人はほとんどいないでしょう。

一方東京→静岡の場合は,100kmを超えているため,東京→東静岡の乗車券を買い,静岡で降りる時に乗越精算をすればOKです。なお,東海道新幹線は東静岡を通らないため,この分割方法は在来線で行く時のみ可能です。ちなみに,東海道新幹線で行く場合は新横浜で分割すると得です。

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実際にどう買えばよいのか (定期券の場合)
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一方,定期券の場合は分割の効果が大きくなります。一回当りの差額が小さくても,塵が積もって山になる可能性大です。おまけに買う時の手間も数ヶ月に一度で済みます。

ただし,定期券の運賃計算方法は普通乗車券の場合とは若干異なるため,普通乗車券の差額がそのまま定期券に反映されるわけではないことに注意して下さい (例えば普通乗車券では 25km超 30km以下の場合同額ですが,定期券の場合 25km超 26km以下と 26km超 30km以下で異なります)。

さらに以下の制約があるので注意して下さい。
  • 通学定期券は「自宅最寄り駅〜学校最寄り駅」間しか買えないため「安くなるから」という理由で分割購入することはできません。
  • 分割購入した定期券の1枚目で自動改札を入り,2枚目で出ようとすると,入場記録がないため扉が閉まる場合があります (実際には「自動精算機による精算記録」がなければ閉まらないようだが)。事前に2枚の定期券を窓口に持っていき「連続定期の設定」をしてもらうとよいでしょう。
  • 品川以東〜横浜以西の定期券の場合,大井町経由,新川崎経由のいずれも乗車可能で新川崎で下車することもできますが,品川〜鶴見の間で分割すると新川崎経由は乗れません。このように選択乗車ができなくなる場合があります。赤羽以南〜大宮以北の場合も同様です。
  • 東日本の「Suica」は「分割購入」に対応していないため,磁気券で買う必要があります。このため「紛失しても手数料を払えば再発行可能」という「Suica」の恩恵は受けられません。
以上で簡単な説明を終ります。自分が利用する区間で分割購入すると安くなるかどうかは自分自身で調べて下さい。個別区間に関する質問を私にされても,面倒なので当方で調べたりはしません。

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